文化旅行部は10日、春節期間中の各推計データを発表した。全国旅行者総数は7.6%増の4億1500万人、旅行収入は8.2%増の5139億元(8兆3252億円)であった。また、商務部の推計によれば、旧暦の大晦日から1月6日(2月4~10日)にかけて全国小売・レストラン企業実現売上は8.5%増で1兆50億元(16兆2810円)であった。
日本のメディアは、この8.5%増といった伸びに対して、前年を1.7ポイント下回った点に注目し、米中貿易戦争の影響で株価が下落、不動産価格が伸び悩み、一部の製造業で従業員削減に踏み切る企業が増えており、消費者心理が悪化しているのではないかと分析している。
だが、中国の株式市場を見ると、1月4日を底値に持ち直している。春節明けの2月11日、全面高となり、上海総合指数は1.36%上昇している。少なくとも投資家心理はこの1か月で回復に向かっている。不動産価格については、12月の70大中都市新築物件価格をみると、対前年同月比で下落している地域は3都市に過ぎない。また、こちらは当局の厳しい監督管理のため、ここ数年、投機が難しくなっている。資産価格変動の個人消費への影響はそれほど敏感ではないとみている。
国家統計局によれば、2017年の16歳から59歳の労働年齢人口は9億199万人で、前年と比べ、548万人減少している。これで6年連続の減少となり、中国の労働人口は確実に減少トレンド入りしている。構造的に中国の所得、消費、GDPは鈍化傾向にあるといった事実にもっと、注目してもよいだろう。
また、冒頭で示したように、もはや帰郷は“苦行”と化している。一部の若い人達の間では、既に田舎に帰る習慣自体を見直す傾向が出てきたように聞く。ピーク時における満員列車の状況は依然として改善されないが、目立たないだけで、前よりも満員列車の本数は少なくなっているのかもしれない。消費者の生活習慣が変わりつつある点にも注目すべきであろう。
こうした状況で、EC取引の急増といった技術進歩が牽引する形で、消費は依然として高い伸びが維持されているのである。