投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が2月18日~2月22日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は下げ渋りか。米中貿易協議の進展を期待した円売りは一服しつつあることや、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ停止観測は、ドルの下押し要因となりそうだ。ただ、ユーロ圏の景気減速を懸念したユーロ売りや英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)の不透明感を背景としたポンド売りによって、安全逃避のドル買いが入りやすい。
足元で発表された米インフレ指標の伸び率は鈍化しており、12月の小売売上高は9年ぶりの大幅減が示された。2月末に発表予定の10-12月期国内総生産(GDP)が低調な内容だった場合、新たなドル売り材料となるだろう。
そうした経済情勢を背景に、20日公表される連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(1月29-30日開催分)で、利上げ継続についてより慎重な意見が多く見られた場合、利上げ休止観測が強まりドル売りを招きやすい。
加えて、閣僚レベルの米中貿易協議で貿易摩擦の早期解消への期待は一服しており、円売りによるドルの押し上げ効果は見込めないだろう。
ただ、現時点でリスク回避的なドル売りが大きく広がる可能性は低いとみられる。欧州委員会が今年と来年の域内経済の成長について下方修正し、減速感からユーロ売り・ドル買いに振れやすい地合いは続きそうだ。特にドイツの経済指標の悪化が目立っており、ユーロ売りを誘発する見通し。また、スペインの予算編成をめぐり政局が流動化しており、現在の中道左派政権の基盤が不安定になればユーロ売りを支援しよう。
一方、英国の欧州連合(EU)離脱に向けた論議で、メイ政権はEUとの修正協議を踏まえ2月26日にも新たな政府方針を議会に示す方向。合意なき離脱や離脱日の延期などの選択肢も残り、引き続き不透明感からポンド買いは入りづらい。
こうした欧州リスクから逃避資金がドルに流入する展開で、ドル・円の取引でもドル買いが縮小する可能性は低いとみられる。ドル・円は直近高値の110円16銭を11日に超えた後、14日にかけて111円13銭まで上昇した。110円は短期的な下値目途(サポートポイント)になるとみられており、ドル・円がこの水準を維持している間は、リスク回避的なドル売りが大きく広がる可能性は低いと予想される。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(20日公表予定)
米FRBは20日に1月29-30日に開催したFOMC議事要旨を公表する。政策金利を2.25-2.50%で据え置いたが、議事要旨の内容によりハト派色のトーンが強まれば、長期金利の低下とドル売りを誘発しよう。
【米・12月耐久財受注】(21日発表予定)
21日発表の12月耐久財受注は前月比+1.7%と予想されている。11月実績の同比+0.7%を大幅に上回る見込みだが、1月以降の数値を確認する必要があり、市場予想と一致してもドル買い材料となるかどうか、定かではないとみられている。