年金の受給開始年齢は、基本的に65才というルールになっている。ところが、65才時点では請求せず、受け取り始める年齢を遅らせることで年金額を増やせる―─そんな仕組みのことを、年金の「繰り下げ受給」という。
年金額は受給開始を1か月遅らせるごとに0.7%、1年で8.4%増える。最大5年まで繰り下げられ、70才から受給開始すれば42%もアップする。人生をトータルで見た場合、長生きするほど、繰り下げ受給をした方がお得だ。もし70才まで受給開始を繰り下げた場合、81才以上生きれば、65才で受け取るよりも、総額では多く受け取れる。
実際に繰り下げ受給をする際の手続きや注意点などを下の「フローチャート」にまとめたので参考にしてほしい。
年金繰り下げ受給の申請手続きフローチャート
【STEP1】60~64才で「特別支給の老齢厚生年金」を受け取っていても、65才受給開始の年金は「繰り下げ受給」が可能
「繰り下げ受給」は、基本的には、いったん年金を受け取り始めると選択できなくなる(受給を開始したら「年金証書」が届くので、大切に保管しておこう)。しかし、昭和36年4月1日以前生まれの男性、および、昭和41年4月1日以前生まれの女性が受け取る「特別支給の年金」(1985年に年金の支給開始年齢が65才に引き上げられたことに伴い、段階的に支給される年金)は例外で、受け取っても、その後に繰り下げ受給を申請できる。なお、「特別支給の年金」は繰り下げ受給できない。