今後、日本株に影響を与える3つの材料
【1】米中通商交渉の行方
3月1日を期限としているアメリカと中国の通商交渉ですが、事務・閣僚級レベルの交渉では、中国側がアメリカに対し、かなり譲歩する姿勢を見せ、アメリカが抱える貿易赤字を解消する方向へと進んでいます。また、中国側が2月下旬に首脳会談を開催したいと提案し、トランプ大統領も習近平主席と会談することで、最終合意を目指したいと意欲的です。
そのため、3月1日を待たずに、なんらかの形で米中の貿易摩擦について合意に達する可能性が出てきています。3月1日までにお互いが合意できないと、アメリカと中国はともに制裁的・報復的に関税を引き上げ、貿易戦争がエスカレートすることになります。
ただし、これまでの交渉経緯を聞く限りでは、何らかの合意に向けての準備が進んでいる印象です。仮に3月1日までの期限までに完全合意ができなくても、交渉決裂とはならずに継続的に協議を行なっていくことでしょう。
交渉期限を延長することで、お互い関税の引き上げを見送る可能性も、十分考えられます。米中の貿易戦争が完全に解決しないとしても、一定の落としどころに向けて、交渉が進んでいることは株式市場にとっては好材料といえるでしょう。
【2】アメリカの景気
中国の景気減速の影響を受けて、アメリカ景気も減速するのではないか、という懸念も出ていますが、実際のところはどうでしょうか。
1月度の雇用統計発表は好調だったため、アメリカの景気減速懸念はやや低下し、今のところ堅調であるといえます。
アメリカの景気が減速して企業の業績が悪化する可能性が高まると円高が進み、日本株が売られる要因となってしまうので、当然日経平均株価にも大きな影響が出ます。
また、アメリカの利上げは当面の間はないものの、だからといって利下げの可能性が議論されるには至っていません。アメリカの長期(10年)金利が2.5~3%の間にとどまる程度がアメリカ経済にとってプラスに働きそうなので、このまま続くかどうかが注目です。
これだけの金利がつくようだとアメリカ国債の買いポジションを持っているだけでトレードをしなくても利益を出せるようになります。そうしたことから、利下げがないままだと、アメリカ国債に大口投資家の資金は流れやすくなり、相場も大きな動きにはならないでしょう。