〈おまえ百まで、わしゃ九十九まで、ともに白髪の生えるまで〉──世阿弥の謡曲「高砂」をモチーフにした夫婦の長寿を言祝ぐ俗謡だが、いざ人生百年の時代が近づくと、めでたいとばかりはいっていられない。
しっかりした人生設計と生活基盤がなければ、長い老後を心豊かに過ごすことは難しい。だが、頼みの綱の年金は減らされ続け、国は「年金をもらわずに働いて稼げ」と言い出した。
本当に年金はアテにできないのか。決してそうではない。
老後の生活基盤を考える上で、現在支払われている年金の平均支給額(月額)を踏まえておこう。厚労省資料(平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況)によると、厚生年金の平均支給額は、「男性」16万5671円、「女性」10万3027円。国民年金の平均支給額は、5万5615円となっている。
夫が厚生年金、妻が国民年金(専業主婦)の夫婦なら年金は合計約22万円。「共稼ぎ夫婦」でどちらも厚生年金であれば、男女の平均を合計した約27万円が目安になる。