国立社会保障人口問題研究所の推計でも、2015年には【1】支え手(20~64歳)が67.8%、【2】高齢者(65歳以上)が32.2%と「2:1」だったものが、2025年には【1】64.3%、【2】35.7%などと高齢者の比率が年々増加。支え手2人で高齢者1人を支える構図が崩れてしまうのは必至の情勢といえるでしょう。
そうなると、今後は高齢者の定義そのものが変わる可能性があることも考えておく必要があるでしょう。先ほどの推計では、2035年には20~69歳を支え手とすれば69.7%、70歳以上を高齢者とすることで30.3%と、どうにか「2:1」のバランスが保てるようになります。さらにその先、支え手と高齢者のバランスをとろうとすれば、2055年には20~74歳を支え手として70.7%、75歳以上を高齢者とすれば29.3%になると見込まれています。
つまり、高齢者の定義を65歳から70歳、そして75歳以上と繰り下げることで高齢者と支え手のバランスをかろうじて保てるようになる。それに伴って年金の支給開始年齢も65歳から70歳、そして75歳へと引き上げられていく可能性は高いといえるのではないでしょうか。
実際、年金の支給開始年齢を70歳以降に繰り下げる議論は始まりつつあり、私たちは今後、それを念頭に生活設計しておく必要が生じてくるのです。