見逃せないのは、金銭的な負担ばかりでなく、子育ての負担も減ることです。保育園や小学校に子どもが通っている時期は、病気だなんだと子どもに手がかかります。ところが、子育て経験者である高齢者と同居すれば、それらの負担も軽減されます。もちろん親世代と同居すれば、“嫁姑問題”なども避けて通れないかもしれません。しかし、嫁姑の関係が良好な場合や、あるいは母方の両親と同居すれば、そういった問題もクリアされる可能性が高まります。
一方で、親世代は年を重ねるにつれ、介護問題が浮上してきます。「老老介護」はいかにもキツイものでしょうし、そこで共働き夫婦が可能な範囲で手伝うことも期待できます。要は支え合う構図です。
興味深いデータがあります。福井県をはじめ石川県、富山県という北陸3県は都道府県別の幸福度ランキングで常に上位を占める幸福度の高い県として知られています。それはなぜか。調べてみると、実は同居が多くて大家族で、しかも共働きが多いことがわかります。加えていえば、同居のみならず、同じ敷地内や町内に住む「近居」も多いそうです。そのように違う世代がお互いに支え合うことで幸福度が高まっている。それこそ少子高齢化がもたらす問題を解決できる大きなヒントではないでしょうか。
現在、安倍政権では消費増税対策も踏まえて、2019年10月に保育・幼児教育の無償化をスタートさせようとしています。子育て世帯にとってはひとつの解決策につながるかもしれませんが、一方で無償化に伴ってさらに保育園などの預け先が不足する問題も浮上してくる気がします。金銭的な施策だけで解決できるほど簡単な問題ではないのも事実でしょう。
それよりも高齢者と共働き夫婦がともに支え合うほうがよほど解決策につながる。家族状況にもよりますが、みなさんもぜひ考えてみてください。