先祖代々の土地を離れて暮らす世帯では、子供にとって墓参りをしやすいように都会の近郊で新しい墓地を買う選択をするケースがある。公営の墓地の場合は一度も納骨したことのない遺骨がなければ申し込めない東京都のような例がある一方、寺院境内墓地や民間霊園であれば親が生きているうちに探せる。
この場合、親が生きているうちの「お墓の購入」のほうが税金などのコストを抑えやすい。葬儀・お墓コンサルタントの吉川美津子氏はいう。
「お墓は『祭祀財産』とみなされ、相続しても非課税です。一方、生前に『この金は墓を建てるのに充ててほしい』と取り分けていても、現金であれば相続税の課税対象になってしまいます。現金を残しておくより、お墓を建てておいたほうがよい。相続税の面だけでなく、親子で終活について話し合うきっかけにもなります」
親が生きているうちに、子供がサポートしながら購入手続きを進めていくかたちだ。一方、いざという時に備えて親子で一緒に話し合っておくべきことが少なくないのが葬儀だ。
「親が亡くなった際、葬儀の案内状を出すのは子供ですが、誰に声を掛けるのかは親自身でないとわからない。そこで、親の生前に声かけリストの作成をしてもらいましょう。葬儀だけでなく、施設に入居したり入院先の病院で余命を告げられたりした際の連絡にも役に立ちます」(同前)