投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が3月4日~3月8日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円はもみ合いか。米長期金利の下げ渋りや米中通商協議の長期化で、ドル選好地合いとなりそうだ。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利をしばらく据え置く公算であることから、リスク選好的なドル買いがさらに強まる可能性は低いとみられる。
7日に開催される欧州中央銀行(ECB)理事会では、新たな貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)に関し議論されるとの見方が強まり、金融緩和継続を受けたユーロ売りがやや強まる可能性がある。また、欧州連合からの英国の離脱(ブレグジット)に関しては延期の観測が広がるなか、2回目の国民投票の実施を労働党が主張している。国内政治不安や解散・総選挙の思惑が広がっており、欧州通貨買い・米ドル売りがただちに広がる可能性は低いとみられる。
雇用統計などの重要経済指標が市場予想を上回った場合、早期追加利上げを期待したドル買いも入りやすいだろう。また、米中通商協議は長期戦となり、紆余曲折の展開となれば安全通貨としてドルが選好されやすい。ただ、パウエルFRB議長の議会証言では追加利上げに慎重であることを意識させる発言が少なくなかった。3月19-20開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で政策金利は据え置きとなる公算。ドル・円は年初来高値圏で推移しているが、新たなドル買い材料が提供されない場合、ドルの上値は重くなる可能性がある。
【米・2月ISM非製造業景況指数】(5日発表予定)
5日発表予定の2月米ISM非製造業景況指数は57.2と、1月の56.7を上回る見通し。米連邦準備制度理事会(FRB)の3月利上げ観測が後退しているが、想定以上に強い内容となれば株高・ドル高を誘発する手がかりとなりそうだ。
【米・2月雇用統計】(8日発表予定)
8日発表予定の2月米雇用統計は、失業率3.9%(前回4.0%)、非農業部門雇用者数は前月比+18.5万人(同+30.4万人)、平均時給は前年比+3.3%(同+3.2%)と見込まれる。失業率や賃金の改善は利上げ期待を高める要因に。