「先のこと」と思っていても、親の介護は突然やってくる。想定していなかった事態に直面して戸惑っていると、余計な負担を背負い込んだり、親子揃って心身ともに疲れ果ててしまうこともある。
親にとっても家族にとっても、想像以上に介護は大変な問題だ。しかも、介護はいつまで続くかもわからない。それでも、その制度と手続きを知っておけば、もっと楽に取り組める。
介護を始める“基準”とは
2019年度の厚生労働省の予算では、社会保障費が過去最高の約34兆円も割り当てられている。だが、いざ「親の介護」に直面したとき、手続きや制度をしっかりと理解していないと、その恩恵を余すことなく受け取ることは難しい。
介護の問題は、それまでのライフスタイルを一変させてしまうほど大変なものだ。サポートする家族にかかる負担が大きいからこそ、適切な保障を受けることが重要だ。
図に示したのは親の介護をスタートする上で必要な手続きの流れだ。その第一歩は「要介護認定」の申請だ。介護問題に詳しい淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博氏が解説する。
「親の行動やその世話のために、家族が生活サイクルを変えなければならなくなったり、仕事に支障が出始めたときが介護認定の申請を検討するタイミングです」