「本人さえ生きていれば、手続きだって簡単だったのに…」。家族の死後、故人の財産に関してそんな悩みを抱えるケースは少なくない。
だが、そもそも預金は生前に名義変更することができない。また、銀行は名義人の死亡を確認した時点で口座を凍結するため、相続手続きが終了するか、相続人全員の同意書がなければ引き出せなくなる。静岡県在住の50才主婦・高野さんは、今も母の口座が凍結されたままだという。
「1年前、同居していた母が亡くなったので、きょうだい5人で遺産分割しなければならなくなりました。ところが、その5年前に父が他界した時、遺産分割協議で大もめして以来、きょうだい仲は最悪の状態になりました。この数年、誰も実家に寄りつきませんでした。
ウチは5人きょうだいで、ただでさえ相続人が多く協力が必要なのに、母の葬儀も私に任せきりでほとんど協力してくれなかった。結局書類が揃わず、母の預金はいまだに凍結されたまま。子供の大学費用にお金が要るのに、葬儀費用や医療費を立て替えたままになっています」