平成の30年間で、首都・東京近郊には六本木ヒルズ、東京スカイツリー、東京湾アクアラインなど、次々と新名所が完成しましたが、新たに生まれるものあれば、消え去るものもあるのが世の定め。ライターの金子則男氏が平成後期(2010~2018年)に東京近郊から消え去ったものを紹介します
【東京厚生年金会館:2010年】
「新宿厚生年金会館」「厚年(こうねん)」とも呼ばれたこの施設は、ホテルや宴会場もありましたが、やはりメインはコンサートホール。キャパはおよそ2000席ほどあり、国内外の数多くの歌手、バンド、アイドルがコンサートを行ないました。新宿駅からはかなり距離がありますが、チケットを握りしめ、ワクワクしながらホールを目指した人は多いはず。跡地はヨドバシカメラが購入しています。
【赤坂プリンスホテル:2011年】
自民党本部や国会議事堂からも近い通称「赤プリ」は、バブル時代に人気が過熱。クリスマスイブにカップルで赤プリで過ごすことが大変なステータスになりました。当時は、宿泊するカップルの営みで建物が揺れたという都市伝説も。2007年にグランドプリンスホテル赤坂に改称されるも、2011年に閉館。跡地には、複合ビルの東京ガーデンテラス紀尾井町が2016年に完成しています。
【下北沢の踏切:2013年】
独特のゴチャゴチャとした街並みが下北沢の魅力ですが、そんな“シモキタ”が大騒ぎになったのが小田急線の踏切の地下化。街の行き来を塞いでいた踏切は地下化によってなくなりましたが、ホームが深くなったことで「乗り換えが面倒になった」、街の顔だった小田急線が見えなくなったことで「風情がなくなった」との声も……。下北沢駅付近は再開発が今も進行中で、まだまだ景色は変わりそうです。
【地上にあった東横線渋谷駅:2013年】
小田急と同じく2013年3月に行われたのが、一晩にして線路を地上から地下へと移動させてしまった東急・東横線の渋谷駅付近の大工事。東京メトロ・副都心線との接続がスタートし、東京の鉄道事情が大きく変わりました。ただし、従来の東横線ユーザーからは、渋谷駅での乗り換えが面倒になったという声も。小田急の下北沢と事情は似ています。