投資情報会社・フィスコが、株式市場の3月4日~3月8日の動きを振り返りつつ、3月11日~3月15日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は下落した。8日にかけて今年初めての4日続落で、週間ベースでは4週ぶりのマイナスに転じた。週初4日の日経平均は2日続伸で21800円台に乗せた。3月中旬に開催観測がある米中会談で両首脳が貿易協定案の署名も可能との見解を米政府高官が明らかにして前週末のNYダウが4日ぶりに反発、為替も1ドル=112円台の円安に振れる場面があったことを好感した。週明け4日の米国市場は、米中通商交渉の今後を見極めたいとの思惑から売りが先行してNYダウが反落した、これを受けて5日の日経平均も3日ぶりにマイナスとなった。前日までの続伸で日経平均は436円強の上昇を見ていることから利益確定売りが広がった。ただ、2月の国内ユニクロ既存店売上高が2カ月ぶりのプラスだったファーストリテイリング<9983>が逆行高となり日経平均を下支えした。
中国が2019年の国内総生産(GDP)の成長率目標を引き下げたことを嫌気して5日のNYダウは小幅続落し、6日の日経平均も続落した。中国経済への警戒感から積極的な押し目買いは乏しく、日経平均は21500円台に水準を切り下げた。NYダウが3日続落したことを受けた7日の日経平均は3日続落となった。経済協力開発機構(OECD)が世界経済見通しを下方修正したほか、地区連銀経済報告(ベージュブック)でも多くの地域で景気減速が指摘されたことを嫌気したニューヨーク市場の流れが東京市場にも波及した。そして、欧州中央銀行(ECB)が7日、2019年のユーロ圏の経済成長率見通しを引き下げ、欧州株が全面安となるとNYダウも前日比200.23ドル安と下落した。
世界的な景気後退を警戒した欧米株安の流れから8日の日経平均も朝方から売りが先行して一段安の4日続落で始まり、その後に上海総合指数がマイナスでスタートすると日経平均は下げ幅を462.94円に広げて、一時2月15日以来となる21000円割れとなった。ただ、5日と7日に続く日銀のETF(上場投資信託)買い入れもあって大引けでは21000円台をキープした。なお、日経平均先物・オプション3月限のメジャーSQ(特別清算指数)値は21348.40円だった。
今週の日経平均は落ち着きどころを探る展開となりそうだ。NYダウ、日経平均ともに、米中貿易協議の進展を期待・好感する形で年初から上昇してきた。3月に入って上昇一服感が浮上していたタイミングだけに、世界的な景気後退のニュースは相場にとってネガティブな反応が強まっている。