政府が働き方改革を推進する一方で、一向になくならないのが「サービス残業」。働いた分の賃金がもらえないとは不条理極まりないものだが、サービス残業代は退社から何年前まで遡って請求できるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
私はある商事会社に入社しましたが、2年前に体を壊して退社。最近、入社当時からの日記を確認すると、サービス残業を死ぬほどさせられていたことが判明しました。こういう場合、改めて残業代を会社に請求するのは無理がありますか。そもそも残業代というのは、何年前までの分が請求可能なのでしょう。
【回答】
残業代とは、時間外労働への割増賃金のことですが、勤めを辞めてからも請求できます。残業代の時効は、労働基準法で発生したときから、2年間と定められています。したがって、2年前までの残業代は残業時間を証明できるのであれば、請求可能です。
また、2年経過してしまった分についても、諦める必要はありません。会社が単に残業代を支払わなかったというだけでは、2年間の時効の対象にしかなりませんが、例外もあるのです。
例えば、職場の上長が部下の時間外の勤務時間を把握しながら、所定の残業代の請求手続きをとらせないようにして、時間外労働を命じていたとすれば、労働者に対する不法行為になる可能性があります。