図の「揉めないケース」では、遺言に基づいて自宅を長男が受け継ぐ場合も、次男と三男は500万円の法定相続分の半分(遺留分)にあたる250万円を受け取る権利がある。
「この場合、長男は手元に現金がなかったとしても、相続する自宅を担保にして金融機関から融資を受けて、当座をしのぐ方法があります。金額が小さくなるので、こうした解決策が現実的となるし、弟たちの同意が得られれば、分割で支払うことも可能です」(橘氏)
“ウチは遺産が少ないから、遺言書なんて必要ない”――そんな思い込みによって家族に修復不可能な亀裂が入ることを防ぐためには、従前の備えが肝要となる。
※週刊ポスト2019年3月22日号