逆に、A氏のように遺留分を請求する立場にある者が、少しでも取り分を増やそうと評価基準の緩い不動産鑑定士を雇い、鑑定価格が高額になるよう誘導することもあるという。お互いの主張が平行線をたどり、相続問題が長期化することが多い。
「この場合、両者がそれぞれ別の不動産鑑定士に評価を依頼し、その中間を取る方法があります。ただ、何よりよいのは、父親の生前に“遺言を書いているのか”を確認し、その内容を家族で共有しておくことです」(橘氏)
全員が了解する内容の遺言をまとめるのには、それなりの労力がかかるかもしれないが、親の死後に罵り合うよりは、家族間のしこりが残りにくいはずだ。
※週刊ポスト2019年3月22日号