Aさんの失敗は、介護日誌や金銭の出納帳をまったく付けていなかったことだ。円満相続税理士法人代表で税理士の橘慶太氏が指摘する。
「家庭裁判所に申請し、特別な寄与が認められれば、『介護職員を雇った場合にかかった費用×介護を行なった日数×裁判所が判断する割合(裁量割合)』で金額が算出されます。毎日の介護に費やした時間や労力、出費をできるだけ細かく記録しておけば、貢献した分をより多くのお金に換算できます。ただし寄与分はかなり低く見積もられ、家裁では時給850円で換算されたこともあります」(橘氏)
7月からは相続人以外の親族、つまり介護を担った「長男の嫁」なども、寄与分を他の相続人に請求できるようになる。“夫婦の苦労”があるなら、詳細な記録を残す価値はある。
※週刊ポスト2019年3月22日号