日本の中国に関するマスコミ報道を見る限りでは、景気減速を指摘する報道が多く、見通しに関してもネガティブなものが多いように感じるが、中国本土株式市場は今年に入り、強い上昇トレンドが出ており、当局が過熱防止に取り組んでいるような状況だ。
上海総合指数は今年に入り、第1週から第8週にかけて続伸、第9週となる前々週は下落したものの、第10週となる前週は再び上昇に転じている。この間の最安値は1月4日に記録した2440.91ポイントで最高値は3月7日に記録した3129.94ポイント。2か月強の間に28.2%上昇している。
一旦押し目を付けていたが3月18日の上海総合指数は2.47%高と戻しており、終値は3096.42ポイントで、3月7日の高値まであと1.1%に迫っている。
今回の上昇について、材料面から説明すれば、年明け直後の底割れの危機を前に、「李克強首相が景気刺激策を打ち出す方針を急遽発表」したことに端を発している。その後、預金準備率の引き下げ、家電などの消費促進策の発動、科創板設立に向けた動きの加速、全人代を通じての減税政策、積極財政政策、金融緩和政策の発表など、短期の景気対策から、長期の資本市場改革に至るまで、矢継ぎ早に政策情報が発せられ、それらが好材料となった。
さらに、2018年の株価下落要因の一つとなっていた米中貿易摩擦が解消に向かう目途が立ったことで、投資家心理の回復が急速に進んだ。
市場は景気悪化を織り込んでおり、政策期待が株価を押し上げている。しかし、需給面からみると、状況はやや複雑である。
A株市場の1日当たり平均売買代金をみると、春節前の上昇相場ではそれほど増えておらず、春節後から急に増え出した。1月2日から春節直前の2月1日(春節前)までの平均は2953億元であったが、2月11日から3月15日(春節後)までの平均は7736億元と急増している。