滬港通、深港通(香港市場と上海、深セン両市場の株式取引の相互乗り入れ)を通じた外国人の売買動向をみると、春節前は1日当たり平均で31億4400万元の買い越しだったが、春節後は28億6500万元の買い越しに留まっている。春節後の売買代金増加は外国人の買いが要因ではないことは明らかである。
一方、中国国内の信用買い残(ネット)の状況をみると、春節前は1日当たり平均で16億5400万元の返済であるのに対して、春節後は66億5600万元の買い越しとなっている。
両市場の売買代金に占める信用買い取引の割合をみると、春節前は7.9%であったが、春節後は9.9%となっている。国内リスク資金の流入が相場を牽引していることがわかる。
3月15日の信用買い残高は8773億元で、2018年8月上旬並みの水準である。例えばバブル期の2015年6月中旬には2兆2000億元を超えていた。それと比べれば、まだ随分と低い。上海総合指数の水準は、昨年1月29日の最高値である3587.03ポイントと比べれば、13.7%低い水準にある。当局が過熱を心配するような状態ではないように見える。
それでも、実際は春節後、投機の過熱があったとみられる。
中国国内で信用取引を行うには最低でも50万元(830万円、1元=16.6円で計算)の資金と半年以上の取引経験が必要であり、多くの零細投資家は信用取引ができない。もっとも、零細だからと言って信用取引に対する需要がないわけではなく、資金が少ない分、逆にレバレッジ拡大に対する意欲は旺盛である。
そうした零細投資家のレバレッジ拡大需要を吸収して、“信用取引の枠の外で、金融機関から資金を調達して株取引を行う”場外配資が急増し、その資金が株価を押し上げたといったのが実態である。
少なくとも、当局はそのようにみており、早速、場外配資の規制に乗り出している。上海総合指数は3月7日を天井にしばらく高値圏のもち合いとなっているが、それが原因である。