複雑な年金制度。申請ミスや切り替えミスなどで、もらい損ねることが起きがちだ。その一方で、「どうせそんなにもらえないから」と、年金の保険料を未納のまま放置する人もいる。特に多いのが、夫が会社員から脱サラして自営業を始めるケースだ。埼玉県在住の主婦・飯田さん(60才)が話す。
「5年前に夫が脱サラして、500万円ほどの退職金と貯金を元手に手打ちそば店を始めました。自営業なので、国民年金を2人分納めないといけなくなったのですが、店の経営はカツカツ。少しでも出費を抑えたいし、どうせ大した額ももらえないので、年金保険料を払わなくなりました」
国民年金の受給資格を得るには10年以上、保険料を納める必要がある。夫が長年、会社員だった飯田さんの場合、第3号の期間が長かったのですでに受給資格はある。
しかし、国民年金は20~60才の40年間保険料を納めて満額を受け取れる。飯田さんが満額を受け取るにはあと5年足りない。ブレインコンサルティングオフィスの北村庄吾さんが話す。
「あと5年分納めれば満額もらえるのに、とてももったいないケースです。飯田さんは60才で、受給開始も目の前。年金は死ぬまでお世話になるものなので、できるだけ増やしておいた方がいい。今からでも増やす方法として、国民年金の『任意加入』を活用すべきです。60才からでも保険料を納めれば、将来受け取る年金を増やせます」