各界の著名人たちは、亡くなる前にどんな「生前手続き」を行っていたのか──。名バイプレーヤーで印象深い神山繁さん(享年87、2017年1月3日逝去)は海軍経理学校を卒業した海軍のエリートで、後に俳優に転向した異色の経歴の持ち主。ドラマ『ザ・ガードマン』(1965年、TBS系)でブレークし、晩年は北野武監督の映画『アウトレイジ ビヨンド』(2012年公開)でのヤクザの会長役も話題となった。
私生活では1956年に女優の文野朋子さんと結婚するも、1987年に朋子さんが急逝。1992年に6才年下の一般女性と再婚したタイミングで、東京・赤坂のマンション暮らしから京都の庭園付き一軒家に拠点を移した。神山さんの所属事務所社長の佐々木寿美映さんが語る。
「2015年の秋頃、間質性肺炎を患い治療したのですが、翌年の春に再発してしまいました。療養中に、『赤坂のマンションを売ることにしました』と言っていたので、この頃から先行きを悟って生前整理を始めたのでしょう」
不動産を現金にすると売却損が出たり、課税対象になるリスクがあるが、神山さんにはそうする理由があった。
「神山さんにはお子様がいないので、できる限り資産をシンプルにして奥様に現金を遺す意向だったのだと思います」(佐々木さん)