不動産の名義確認「親が衰えてからだと大トラブル」
一方、不動産資産がある場合、親が動けるうちに解決しておきたいのが「名義」の問題だ。
親の名義だと思い込んでいた不動産が、実はすでに死亡した祖父の名義のままだったというケースが少なくない。
「この場合、まず祖父の古い戸籍をすべて集めて親の兄弟姉妹など全相続人を特定しなければなりません。そのうえで、相続人全員の承諾を得て遺産分割書を作成、法務局で名義変更をする必要がある。親の亡くなった後に慌ててやろうにも莫大な手間がかかるのです」(橘氏)
また不動産が親とその兄弟などの共有名義になっていることも多い。
「このケースでは、親の所有分しか不動産を相続できず、相続後に物件の売却や建て替えなどを自由に行なえません。親類と最もトラブルが生じやすいパターンです」(橘氏)
こうした事態を未然に防ぐためには、“親に動いてもらう”というやり方が有効となってくる。
「親の存命中に他の相続人や所有者と話し合ってもらい、親の単独名義に変えておくことが望ましい。親の死後に子供が動き回るよりも、近い世代で話し合うほうが問題を解決しやすいはずです」(橘氏)
話し合いは数年にわたることもあるゆえ、親が衰える前の名義確認は必須だ。
※週刊ポスト2019年3月29日号