親の死後に自分が、あるいは自分の死後に家族が、慌ただしい中で進めなければならないのが相続の手続きだ。「どんな準備・対策が必要か」を指南する情報は数多くあるが、実は最も大切なのは「いつ、その対策をやるか」ということだ。
親の所作が目立って緩慢になり、物忘れも出てきた……。「別れの予感」が漂うようになったら、家族で協力して準備を進めたい。
財産目録の作成「借金も確認するのが大事」
まず始めたいのが、親の全財産を把握する財産目録の作成だ。円満相続税理士法人代表で税理士の橘慶太氏が指摘する。
「できる限り詳細に記入するのが原則で、預貯金はすべての銀行名、支店名、口座番号を記し、有価証券は銘柄ごとに株数や証券口座名を記します」
作成が早すぎても財産内容が変化する可能性があるので、衰えが気になってきたタイミングで取り組む。
最近は通帳やキャッシュカードのないネット銀行も増えている。財産目録作成時には、ネット銀行にログインする際の暗証番号やパソコン、スマホのパスワードも確認しておきたい。