重要なのは「負の遺産」も漏れなく記入することだ。
「相続発生後に親の借金などが発覚して、子供たちが驚愕することがあります。財産目録には、クレジットの借り入れや個人間の借金、車のローンから連帯保証に至るまで、マイナスの遺産もすべて記入し、可能であれば親の生前に整理しましょう」(橘氏)
地方に住む親が「田舎の不動産」を所有するケースも要注意だ。
「不動産の相続税評価額は、路線評価額と固定資産の税倍率評価額の2通りがあり、路線価のつかない地方の不動産には、地域によっては固定資産税評価額に30~100倍を乗じて相続評価額を算出する場合もある。
そうした地域の山林や原野を親が先祖代々受け継いでいると、固定資産税はゼロでも相続税評価額が数百万になることがある。相続手続き後にその事実が判明してトラブルとなるケースもあります」(橘氏)
ただ、親の生前のタイミングでわかっていると対応も可能だ。財産目録作成時に税理士など専門家に相談して評価額が把握できれば「生前に処分することは十分に可能」(同前)なのだ。
遺言書の作成「生前の内容共有がトラブルを防ぐ」
財産目録を作成したら、次は遺言書だ。
「親の遺言書がないと、相続が遺産分割協議に持ち込まれて揉める事例が非常に多い。ただし、死の直前に遺言書を作成すると、『同居する長男が自分の有利になるよう誘導した』などとトラブルの種になるので、ある程度余裕を持って準備をしたい」(橘氏)