キャリア

男社会に負けない… 離婚女性専門の不動産会社を作った女性社長

 だが、いちばんの原動力となったのは、元夫に対する強い反発心だったという。

「元夫は“妻は働かずに家庭を守ってほしい”というタイプ。だからパートに出て働きたいと言っても、渋々といった感じでした。確かにそれだけの収入もある人だったので、“あなたの稼ぎが少ないから私が働きに出る”という言い方もできません。でも、どこかで“私だってやればできるじゃないか”みたいな悔しい気持ちがあって…。パートを2つも掛け持ちしたり、むこうの意図と逆方向にいっちゃったんですよね(苦笑)」

男社会で負けないために心に決めたことは?

 下の娘が小学校へ上がると、緑川さんはいよいよ不動産業界へと進出。まずは賃貸仲介会社のスタッフとして働き始めた。持ち前の明るさとバイタリティーで職場での評価も上々。パートから契約社員、そして正社員へと、キャリアを積み重ねていった。

「とにかく仕事が楽しかったんです。子供も小学校中学年になった頃、本腰を入れて不動産営業の会社にフルタイムで就職しました」

 とはいえ、不動産の営業はまだまだ男社会。

「“あいつは女だから”という目で見られたくなかったので、女性っぽさを消すように見た目を変えました。スカートはやめてパンツスーツに。髪形も、美容師さんに“どんなヘアスタイルだったら売れそう?”って聞いたら、ショートボブだって言うんで、“じゃ、切って!”と、ロングヘアをバッサリ(笑い)」

 外見を一新させると同時に、自分自身にも「大丈夫、私、デキる!」と言い聞かせた。だが、面接時に聞かれたのは、いまだ忘れもしないこんな言葉だった。

「“お子さんいるんですよね? 風邪ひいた時、学校休んだらどうするんですか?”とか聞かれたんですけど、“大丈夫です。親が見に来てくれます”って、ホントは来ないんですけど(苦笑)。カチンときたのは、“車は持ち出しですけど、ご主人とけんかになりませんか?”という質問。これが男女逆だったら、“奥さん、怒りませんか?”なんて言うわけがないですよね。その場では“大丈夫です。怒らせません”って答えましたけど(笑い)」

 そんな経験が緑川さんの負けん気をさらに刺激した。

「主婦だから、女性だから勘弁してください、という言葉は、絶対に言わないようにしよう」と心に決めた。

「営業の仕事は深夜遅くまでということもありますが、“先に帰ります”というのは言いたくなかったんで、“ちょっと戻ります”と言って、家に戻って子供たちの宿題を見たり、寝る支度をしてからまた会社に戻りました」

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