警察や自治体が口酸っぱく注意を促しても、一向になくならないのが振り込め詐欺などの「特殊詐欺」。都内に住む70代の男性Hさんは、振り込め詐欺に関する警察の対応に疑問を抱くような出来事に立て続けに遭遇し、今も不信感が拭えないという。いったい何が起こったのか?
Hさんのもとに振り込め詐欺らしき電話がかかってきたのは昨年秋のこと。Hさんが電話に出ると、電話口の男は「オレ、○○○(Hさんの長男の名前)、オレだよ」とすすり泣き、その後、別の男が電話に出て、警察の人間であると名乗った。
しかしHさんは、交通安全運動、「火の用心」の夜回り、選挙の立会人など、地元の活動に積極的に参加しており、地元警察に知り合いが何人もいた。そのため、電話を繋げたまま携帯電話で知り合いの警察官に連絡すると、警察側の返事は「無視して下さい」とのこと。囮になることを申し出たが、あっさりと却下された。「せっかくのチャンスなのに」と残念がったHさんだったが、その数か月後、今度は警察に腹を立てることになる。
Hさんはまとまったお金が必要になり、息子とともに隣町の銀行を訪れた。ATMでは引き出せない額なので窓口に向かうと、やがて男性の行員が現れ、別室へと招かれた。行員から金の用途、隣にいる人間が本当に息子なのかなどを尋ねられているうち、何故か警官がやって来た。振り込め詐欺を疑われたのだ。
Hさんはタクシーを待たせていたため、「早くしてくれ」と言ったが、ようやくお金を手にできた時には、銀行に入ってから1時間半近くが経過。解放された時、タクシーのメーターは1万円近くになっていたが、銀行も警察も補償はしてくれなかった。