定年後の生活を“引き算”の発想で豊かにする方法がある。それが「攻めの解約術」だ。たとえば、かつては「一家に一台」が当たり前だった固定電話は、解約を検討していい対象ではないか。
NTTを利用している場合、基本料金1836円に加えて、発信者の番号が通知されるナンバーディスプレイ(月432円)、通話中の着信を知らせるキャッチホン(月324円)を契約していれば、月に2592円の出費となっている。ばっさり解約してしまえば、それだけで年間3万円強が浮き、定年後の20年で考えれば60万円が捻出できる。ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏が指摘する。
「今や、固定電話があるメリットはほとんどなく、むしろリスクのほうが大きい。深刻な社会問題となっている振り込め詐欺やしつこいセールスの電話は、ほとんどが固定電話にかかってきます。解約によってそれらの被害に遭いにくくなるのはたしかでしょう」
家計節約を考えるなら、同時に、携帯電話の契約も見直すべきだろう。大手キャリアを利用している場合、加入時や機種変更時に、勧められるまま月数百円のオプションサービスをいくつも付けてしまっているケースは多い。支払い明細を見て、それらを解約し、料金プランも見直せば、月に数千円の節約も可能だ。
もし携帯電話を持っていなければ、固定電話と変わらない費用で使える格安スマホへの切り替えが選択肢となる。系列の電力小売り事業者とセットで契約することで、両方の利用料の割引を受けられるサービスもある。固定電話にかかっていた費用がゼロになるだけでなく、格安スマホ料金がさらにお得になり、電気代まで安くなるという、“一石三鳥”なのである。