4月1日の上海総合指数は2.6%上昇、終値は昨年5月22日以来の高値を更新している。春節が明けた2月11日から急上昇したものの、3月に入ると調整局面となり、値固めとなった。チャートを見ると3月28日の時点では、ダブルトップ形成のリスクもあったが、29日には3.2%上昇、そして1日も大きく上昇したことで、テクニカル分析的には次の上昇波が出るのではないかといった期待が高まっている。
相場好転の要因は、29日まで行われていた米中貿易協議について進展が見られ、貿易摩擦の終わりが近づいているとの見方が投資家の間で広がったこと、景気回復を示す経済統計が示されたことなどである。特に、後者については大きなサプライズであり、投資家に与えたインパクトは大きい。
国家統計局、中国物流購買連合会は3月31日、3月の製造業PMI(官製)を発表した。結果は50.5で前月と比べ1.3ポイント上昇、市場コンセンサスである49.5を1ポイント上振れした。
製造業PMIにはもうひとつ、中国のメディアグループ・財新とイギリスの調査会社・IHSマークイットが独自に発表しているものがある。イギリス企業が携わっているということもあり、欧米ではこちらの数値をより重視する市場関係者が多いようだが、この統計でみても、3月は50.8で、前月よりも0.9ポイント高く、市場コンセンサスである49.9を0.9ポイント上振れしている。
両指数ともに、景気判断の分かれ目となる50を超えている。製造業の景況感は予想以上に良い。
官製の製造業PMIについて詳しく調べてみると、13の細分指数があるが、すべてが前月よりも改善している。この内、50を超えている指数は7つある。具体的には、生産、新規受注、サプライヤー配送時間、購買量、主要原材料購買価格、工場出荷価格、生産経営活動予想などである。
米中貿易摩擦の景気への影響が懸念されるが、輸入指数は48.7ながら、前月と比べ3.9ポイント回復している。新規輸出受注は47.1で、こちらも50には達していないものの、1.9ポイント改善している。原材料在庫、製品在庫ともに50には達していないが、回復しており、特に原材料在庫の回復が顕著である。
企業家心理は改善しており、経営者は生産を大きく拡大させている。