予想外の好転だが、春節の影響があるかもしれない。政府の発表する今年の春節休日は2月4日から10日までであった。一部の中小企業などは19日の元宵節まで休むところがあるが、そこまで含めても、すべてが2月の中に納まる。その間、製造業はほぼすべてが生産を停止する。その期間が終われば、生産が活発になるのでその影響が出たといった見方である。
ただし、そもそも、この統計は季節調整済みである。今年は足元の景気が悪いので、早い時期から生産をセーブしていた可能性があり、それが春節明けに一度に正常に戻ったということはあるかもしれないが、それにしても、それですべてが説明できるほど大きなものではないだろう。
やはり、ここは素直に今年の年初から矢継ぎ早に政策が打ち出されており、その効果により、企業家心理が改善したからだとみるべきであろう。
預金準備率の引き下げ、家電などの消費促進策の発動、科創板設立に向けた動きの加速、全人代を通じての減税政策、積極財政政策、金融緩和政策など様々な政策が発表されているが、国家統計局はこの中で、減税政策、政府による各手続き費用の軽減策などが段階的に実施されたことで、需給が引き締まったとしている。
日本では中国経済に対する減速懸念が強いが、過度の悲観は投資機会の損失に繋がり兼ねない。少なくとも、中国本土の投資家、企業家は、株式市場、景気に対して強気であるという点には留意しておいた方が良いだろう。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。