住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「押上」(東京都墨田区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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平成30年間で大きく変わった東京の街はいくつもありますが、もっとも変わったのではないかと思われる街の1つが「押上」です。以前は下町の静かな街でしたが、東京スカイツリーが2012年に開業したことにより、都内・国内のみならず、海外からも観光客が押し寄せる街へと変貌を遂げました。
鉄道は京成押上線、東武伊勢崎線、東京メトロ・半蔵門線、都営浅草線の4社4線が乗り入れており、大変便利です。半蔵門線で大手町まで14分、永田町や渋谷へも1本ですし、京成や都営浅草線慶友で銀座、成田空港、羽田空港までも1本。隣駅の錦糸町でJRへの乗り換えも可能です。バス路線も充実しており、公共交通機関にはまったく不満はありません。
道路状況はボチボチといったところでしょうか。確かに水戸街道(国道6号線)、京葉道路(国道14号)、明治通り、浅草通り、言問通り、三ツ目通りなど、車線数の多い幹線道路が付近にいくつもあり、首都高速への入り口も近くにありますが、それらの道路を使って移動できる場所は、わざわざ車で移動するより、鉄道を使うほうが遥かに早そうです。スカイツリー周辺(=駅周辺)は、これだけの観光名所にしては渋滞はマシな方ですが、それでも休日等は混み合います。そう考えると、車がなくても暮らしていける街のような気もします。