2019年に入っても好調が持続しているIPO(新規上場)市場。はたしてこの流れは、今後も続くのか。また、どのような投資戦略が有効となるのか。投資情報サイト「IPOジャパン」編集長・西堀敬氏が解説する。
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2019年1~3月にIPOした全21銘柄で見ると、勝率(上場後についた初値が公開価格を上回れば「勝ち」、下回れば「負け」、同値なら「分け」とする)は20勝1敗で95.24%と高いパフォーマンとなった。
これは、ほとんどのIPO銘柄において、ブックビルディングに参加して公開価格で株式を入手できていれば、初値がついた時点で利益が出ているということだ。今後も勝率はこの高い水準が続くと予想している。
したがって、2019年の今後のIPO投資で勝つための手法は、できる限りブックビルディングに参加してIPO株を公開価格で入手し、上場後についた初値ですべて売り抜ける戦略が、引き続き有効といえそうだ。
ただし、IPO株は初値で売るのが鉄則とはいえ、公開価格で入手できるとは限らない。少しでも入手確率を上げるためには多数の証券会社に口座を開設しなければならないし、さらに抽選に当たらなければ何も始まらない。
それでは、IPO株を公開価格で入手できなかった場合、どのような投資戦略が考えられるだろうか。
まずは、上場後の初値がついた時点で買って、少し上がったところで売るというデイトレード戦略がある。実は上場日の最高値は、2016年から2018年の3年間の平均で、初値より9.0%上がっている。9.0%はあくまで平均なので、そこまで上がらないケースも考慮して、欲張らずに4~5%上がったところで売り抜けるという戦略は有効だろう。
次に、IPOした企業の業績上方修正を狙うという戦略がある。IPO企業は上場時には保守的な業績予想を出す傾向が見られるので、上場した後に上方修正が起こりやすい。業績が上方修正されると、市場から成長性が高いと判断され、株価が大きく動くことがしばしば見られる。