さらに、4月30日~5月1日には米国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)の開催、5月3日にはドル・円相場に大きな影響を及ぼす米雇用統計の発表も控える。
そこで悪材料が出れば、日本の連休中も絶え間なく動いている為替相場に影響が及ぶ。連休中で東京市場の為替取引自体が減って流動性が低くなれば、海外勢の一方的なドル売りに押される格好で円高ドル安が加速しかねない。
日本株の取引が止まっている間に為替だけが動くと深刻な事態を引き起こす場合がある。とくに円高は、輸出企業が多い日本の大企業にマイナス材料となるため、「大幅な円高に見舞われた場合は、連休明けに一気に日本株が売り込まれる可能性が高い」と、前出の西堀氏は指摘する。
何も手が打てない時は「キャッシュ・イズ・キング」
その懸念はもっともで、GWは例年のようなカレンダーの時でさえ“鬼門”となってきた。2016年はGW直前に米国の利上げ見送りと、日銀の金融緩和見送りが重なり、日本が連休に入っている間に円が急騰。連休の谷間となった5月2日の東京市場は500円を超える下げ幅となった。
この時は東証一部上場の約9割の銘柄が値下がりしたが、特に影響が大きかったのは輸出産業だ。円高による採算悪化の懸念から、自動車や電機などを中心に売りが殺到した。
こうした“悪夢”の記憶が鮮明に残っているからこそ、「例年以上に長い休み」が相場のプロたちの不安をかき立てる。
今回も特に警戒が必要な業種について複数の株式アナリストは、「4月中旬から本格化する日米通商交渉で米国側が特に問題視している自動車や電子部品など、輸出関連株が下落する局面が考えられる」と分析する。
しかも、株式市場には、「セル・イン・メイ(株は5月に売れ)」という格言がある。
“アノマリー”と呼ばれる投資家の経験則に基づく言葉で、決算の迫るヘッジファンドが利益確定のための売りに走ることなどが背景にあるといわれる。