突然「米国債」といわれても、よくわからない人も多いだろう。そもそも「国債」とは、国(政府)が社会保障費や公共事業などを賄うのに足りない資金を調達するために発行する「債券(借用証書)」のこと。「国債を買う」ということは、つまり「国にお金を貸す」ということだ。日本政府発行の借用証書なら「日本国債」、アメリカ政府なら「米国債」となる。
発行国が破綻しない限り貸したお金が返済されないことはなく、国の信用度にもよるが、株や投資信託などの他の金融商品よりも安全性は高い。中でも、世界一の大国であるアメリカなら、30年後でも国が破綻することは考えにくい。とはいえ、なぜ日本国債ではなく米国債なのか。
「まず1つ目に、国の信用度でいえば、昔から『アメリカがくしゃみをすると日本は風邪を引く』いわれるように、仮にアメリカ経済が傾くようなことがあれば、先に日本経済が危機的状況に陥っているでしょう。
2つ目は、何といっても金利が高いこと。国債は、一般的に満期が長いほど金利が高くなりますが、日本国債(個人向け)の金利は年数にかかわらずたったの0.05%。一方、米国債の金利は10年満期で2.5%前後、30年満期で2.9%前後です(4月4日時点)」(杉山さん・以下同)
満期まで利子がつかない「ゼロクーポン債」の魅力
米国債は大きく分けて、定期的に利子を受け取れる「利付債」と、満期まで利子がつかない「ゼロクーポン債」があるが、杉山さんは後者を推す。
「ゼロクーポン債は、運用中に利子がつかない代わりに、満期までの利子相当分があらかじめ差し引かれ、その分購入時に安く買えます。
さらに、購入した時点で満期までの利回り(利益率)は確定しているため、満期で受け取る金額も決まっており、償還(借金の返済)時にはまとまった金額を受け取れて、年金の上乗せにつながる商品なのです。
また、利子を途中で受け取らないため、満期までの利子が雪だるま式に膨らむ『複利』効果が得られるため、長期運用に最適といえます」