街中でイヤフォンやヘッドフォンを装着している人を見かけることが増えた。通話機能がついているハンズフリーのものも人気で、今後益々普及していきそうだが、耳が防がれているという見た目を活かし、日常生活や職場などで「周囲に話しかけられない」ために使用している人も少なくないという。
ナンパや店員に話かけられたくない
20代の会社員女性・Dさんは、移動中は「ほとんどずっと」イヤフォンを装着。音質へのこだわりはなく、スマートフォン付属のもので満足している。「Apple Music」で、あいみょんや、SHISHAMOなどお気に入りのアーティストを聴いていることが多い。音楽好きではあるが「イヤフォンがないと安心しない」のが本音だという。
「私は地方出身で、都会での生活も長くなってきましたが、街の雑音には未だに慣れません。大型ビジョンから流れる広告や音楽、車の騒音などといった都会の雑音が特に苦手です。
歩いているのを邪魔してくる勧誘やキャッチセールスのほか、洋服屋さんでただ服を見ているだけなのに、店員さんに話しかけられるのもあまり得意ではありません。“自分の世界”に急に他人が土足で入り込んで、脅かされるような感覚を覚えます。渋谷や新宿など、街自体が騒がしく、ナンパ師が声をかけてくるような街では、音楽のボリュームを上げて、周囲を遮断するようにしています」(Dさん・以下同)
特に苦手なのが、出会い系サイトやアーティストの宣伝で使われることの多いアドトラックなのだとか。イヤフォンを付けていない時は、両耳を指で塞ぐこともある。コンビニやスーパーの会計時など、どうしても必要な時はイヤフォンを外すが、本当に話しかけられたくない気分の時は、マスクもして外部全体を遮断することもある。Dさんにとって、イヤフォンは身を守るためのツールなのだ。