かつて、酒席の1杯目は「とりあえずビール」がほぼ“当たり前”だった。そんな乾杯事情に、最近変化が生じているようだ。
まず、人気なのはハイボール。原材料となるウィスキーの年間出荷量は前年比108%の成長を遂げた一方で、ビールの出荷量は14年連続で減少。日本人がビールを嗜む量が減っていることは歴然だが、今でも宴席では、「とりあえずビール」の習慣は残っているのだろうか。若い20代、30代のサラリーマンに実情や、この慣習についての意見を聞いた。
1杯目はビールで乾杯、2杯目以降はハイボール
週に2、3回は社内外の飲み会に参加するという会社員の30代の男性Aさんは、大のビール好き。厳しい上下関係の中で教育を受け、また酒席の幹事を務めることも多いことから、ビールでの乾杯が当たり前だと思っている「とりあえずビール」派の一人だった。
「ビールの場合、ピッチャーだろうとジョッキだろうと、他のアルコールと比べて提供スピードが早い。そのため、乾杯までの時間が短く、会を一気に盛り上げることができる。カクテルやソフトドリンクだと、まず注文の時点で『何にしようかな』などと悩むケースも多く、乾杯までに時間がかかるし、どうしても会をスタートさせるまでのテンポが悪くなる」(Aさん)
そんなAさんだが、最近ではもっぱらハイボールを注文する機会も増えてきたという。
「30歳を超えて、ビールを飲むと”胃が重たい”と感じることが増え、糖質量やプリン体も気になってきました。そのため、ビールを飲む量を減らし、ハイボールを意識的に増やしています」(Aさん)
ただ、乾杯になると、いまだにビール以外で乾杯することがはばかられると明かす。
「一回り上の世代にとっては、やはりビールでの乾杯が”当たり前”。他のアルコールで乾杯しようとすると、微妙な空気になることが多々あります。そのような先輩や年配者の多い飲み会では、乾杯の1杯目だけビールを頼んで、2、3杯目以降にハイボールを飲んでいます」(Aさん)