憧れの高級ホテルでの宿泊。そこでホテルマンから、ちょっと特別扱いされるようなサービスを受けられたら、満足度はとても上がるだろう。代々、有名ホテルを経営している家に生まれ、小さい頃から多くのホテルを見てきた女子大生コラムニスト・小林千花氏が「プラスアルファ」のサービスを受けられる客の条件をリポートする。
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ホテルの宿泊客は、同じ値段を払ったからと言って、みな同じサービスを受けているわけではない。ホテルで働いている人も人間だから、客を見てプラスアルファのサービスをするかどうか決めているのだ。では、ホテル側は客をどのように見ているのだろうか。ある都内高級ホテルの現役ホテルマン数人に聞いた。
まず、チェックインの時にフロントでは何を見ているのかと聞くと、「お客様の第一印象ですね。簡単にいうと清潔感があるかです」(あるフロントマン)という。ホテル慣れしていない若いお客様でも清潔感のある客は好感度が高い。一方で、ブランドものを持っている客でも、清潔感がなかったらそうはならないようだ。もちろん、だからといってサービスレベルを下げるわけではないが、好感度は高いほうが良いサービスをしてもらえる可能性は高まる。
よく聞くのが、「部屋をアップグレードしてもらった」という話だろう。あるホテルマンは、「チェックインの際、お客様との何気ない会話の中で誕生日や記念日ということを聞いたら、部屋の空き状況によって、アップグレードやシャンパンサービスを行います」という。
この高級ホテルではホテルマン全員にシャンパンサービスをする権限があるらしい。チェックインの時に自分から「誕生日で……」というのが憚られる人は、リクエストを活用するといいという。高級ホテルでは予約時にリクエストを送ることができ、事前に「誕生日である」「記念日である」とホテル側に伝えることができる。
最初からサービスを期待するのは良くないが、このようなサービスがあるということを知っているだけで宿泊するときの楽しみが増えるだろう。
ホテルマンからみた「よいお客様」とはどんな人たちなのだろうか。この問いについて、皆が口を揃えて語ったのが「泊まりにきてやっている」という態度を取らないことであるという。高級ホテルだとつい気が大きくなって“自分はお客様だ、ホテルマンはなんでもいうことを聞くはず”と思ってしまう人が少なくないが、前出のフロントマンは「チェックインの時から横柄なお客様には、正直、プラスアルファのサービスをしたいとは思いませんね……」と本音を語る。