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小田急線・通勤ラッシュ15万人パニックはなぜ起こったのか

小田急線の大パニックはなぜ起こったのか(写真:アフロ)

小田急線の大パニックはなぜ起こったのか(写真:アフロ)

 多くの人が新生活のスタートを迎えた4月8日、月曜日の朝、小田急沿線の駅は突然のパニックに見舞われた。町田駅のホームでは「痛い痛い」との悲鳴のなかで人々が押し倒され、登戸駅では構内に入れない人の波が周辺に溢れかえっていた。あの日、何が起きていたのか──。

「命の危険を感じました。ぎゅうぎゅうの満員電車が止まって、1時間。身長150cmの私の顔は、ずっとスーツのサラリーマンの体に押しつけられたままでした。圧迫されて体は痛いし、息苦しくて何度も意識が遠のきました」

 都心のサロンで働く20代の女性美容師はそう振り返る。

 地獄絵図が出現したのは、4月8日の早朝、通勤通学ラッシュがピークを迎えた小田急線だった。小田急線は東京・新宿を起点に南西に延び、広大なベッドタウンを横切り、神奈川の藤沢や小田原を結ぶ私鉄路線で、1日の利用客は約410万人に上る。その全線が、午前7時37分ごろからおよそ1時間10分にわたって運転を見合わせた。

「私立小学校に合格した息子の入学式の日でした。駅の構内に入ったところで見動きが取れなくなった。右も左もわからない初めての電車登校で揉みくちゃにされた息子は、ガタガタ震えて、泣いていました。入学式にはもちろん遅刻。歩いて通える近所の公立小にすべきでした」(30代母親)

「怒りを通り越して、呆れましたよ。ホームで待てど暮らせど電車がこない。止まってるなら改札入る前にアナウンスすべきですよ。情報提供が遅すぎる。もう改札に後戻りもできず、寒風に吹かれながらただ呆然と立っているだけ。人身事故なら仕方ないですが、『無線システムのトラブル』って、人災ですよね。ちゃんと点検してるんですか、小田急は」(40代会社員男性)

「東北の地元から出てきて、病院研修初日に大遅刻です。人生初の通勤ラッシュで心が折れました。東京で暮らすの、マジでもう無理」(20代看護師女性)

 上下線65本が遅れ、約15万人に影響した。駅の改札前はどこも長蛇の列、振替輸送のバス停も黒山の人だかり。町田駅(東京)の行列の押し合いで転倒した人が出たのも、沿線の学校で午前中の授業中止や入学式の時間繰り下げが行われたのも、その朝の「小田急沿線パニック」の氷山の一角だった。

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