「そもそも小田急は『停止信号』で止まったり、遅れたりしないで運行する方が珍しい。小田急ユーザーは日頃から、“停止信号ありきの路線なのか”と不満をためていますが、今回は本当に怒り心頭です」(50代会社員)
小田急は工事着工から30年を経て、2018年3月、東北沢~和泉多摩川間の線路を4本にする「複々線」を完成させた。鉄道ジャーナリストの川島令三さんが指摘する。
「複々線の完成で、朝のラッシュ時の新宿~町田間が最大12分早くなり、並行して走る『東急田園都市線』の客を奪うことに成功しました」
だが交通評論家の佐藤信之さんは、「小田急は和泉多摩川駅から西側の乗客に対応し切れていない」と言う。
「西側の都市化が進み乗客が増加したのに、複々線区間は和泉多摩川駅の先で途絶えています。そのため、郊外から都心へ向かう高速列車をこれ以上増やせず、混雑や遅延が生じやすい。郊外部を複々線化しようにも、建物が線路近くまで建っているので用地買収が難しいのが現状です」
小田急といえば、都心の新宿から箱根をつなぐ「特急ロマンスカー」が目玉だ。
「小田急は利用客を呼び込むため、“ロマンスカーがこの時間帯だけこの駅に停車する”という例外をいくつも作りました。看板車両が不規則にあちこちの駅に停車するしわ寄せが普通車両に及び、効率的なダイヤ編成が妨げられています。停車駅がきっちり決まっている西武鉄道の看板特急車両『レッドアロー』とは大きな違いです」(川島さん)