新潟青陵大学大学院教授(社会心理学)の碓井真史さんは、「日本人が個人よりも集団を重んじるから」だと分析する。
「日本人は学校でも会社でも“みんなと同じようにしないといけない”との同調圧力が強く、滅私奉公を好んで集団や組織を大事にします。だから多少のトラブルがあっても、“会社・学校は休めない”と考えます。
日本人は会社で自分の仕事が終わっても、他の人より先に帰るのが悪い気がしてペコペコと頭を下げて申し訳なさそうに帰る人が多いですよね。自然災害で電車の遅延トラブルが起きても、周囲で大勢の人ががまんして並んでいるのを見ると、“みんなが一生懸命に通勤・通学しようとするのに、自分だけ帰りますとはとても言えない”という発想になります。そして会社に着いたら上司や周囲に対して、“動き出したらすぐに乗りました”と説明し、忠誠心を示したくなるんです」
小田急の遅延に巻き込まれた女性は、大げさではなく、「命の危険を感じた」と訴えた。あなたは、もし実際に大きな地震に直面し、そこに居続けたらさらに危険な状態になると薄々は気がついていても、“みんなもがまんして待っているから”と自分に言い聞かせて、そこで待ち続けはしないだろうか。
自分の身を守るためには、そうした日本人のマインドを理解した上で、「さっさと諦めて帰る」という決断も大切なのだ。
※女性セブン2019年5月2日号