その流れが一段と加速したのが、1990年代半ばから2000年代半ばの「就職氷河期」だ。非正規雇用は2005年までの20年で平均すると年間約47万人のペースで増え続け、今や930万人もの「アンダークラス」が生まれた。特に深刻なのが、女性の貧困だ。認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」理事長の大西連さんが話す。
「非正規労働の割合を男女で比較してみてみると、1985年から2015年までで男性の非正規は7.4%から21.9%に上昇しているのですが、女性の非正規は32.1%から56.3%と大幅に増加。もともと女性はパート労働の形が多く非正規労働率は高い傾向にありましたが、2005年以降では半分以上が非正規労働者という驚きの数字です」
橋本さんが続ける。
「貧困と隣り合わせだけに、結婚して家族を形成することが難しい。アンダークラスの男性では実に66.4%が未婚者で、配偶者がいるのはわずか25.7%のみ。女性も未婚者が半数を占めています。また、43.9%もの女性が離死別を経験。離死別を経て主婦から単身の非正規労働者へと転じることも、女性の貧困の原因になっています」
平成を通じて女性の働き方が変わったことで、未婚率や離婚率が上昇。かつて、女性の非正規労働者の大部分はパート主婦だったが、未婚化の進行と離婚率の上昇で、独身の非正規労働者が増加。それらが複雑に絡み合って、女性の貧困化が加速している。
※女性セブン2019年5月2日号