住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「蒲田」(東京都大田区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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東京を語る上で面白いのが、“玄関口”となる駅の特徴が似通っていること。東京と接する千葉、神奈川、埼玉県民が都内に入る際に“関門”となるのが蒲田、赤羽、北千住、小岩といった駅ですが、これらの街はいずれも庶民的。飲み屋が多くて、ちょっぴりワイルドですが、そういった街こそ穴場。東京の南の玄関口の住心地を検証していきましょう。
鉄道はJR京浜東北線と、東急池上線、多摩川線の3線。ラッシュ時の京浜東北線に、蒲田駅始発の列車があるのは嬉しい情報でしょう。新幹線駅の品川まで10分、横浜や東京駅には20分程度ですし、渋谷へは東急経由で行く手もあります。
鉄道に関しては大事な注意点があります。蒲田には京浜急行の「京急蒲田」という駅がありますが、京急蒲田駅はJR蒲田駅とは徒歩で10分程度離れています。同じ「京急○○」でも、「京急川崎駅とJR川崎駅」「京急鶴見駅とJR鶴見駅」は目と鼻の先ですが、京急蒲田は完全に別の駅。両駅を結ぶ「蒲蒲線」を作る計画はありますが、一筋縄ではいかない問題が多々あり、相当時間がかかりそうです。
道路状況は良いと言うべきなのでしょうか。環八と第一京浜(国道15号線)という2本の超重要路線が駅の近くを通っており、第二京浜(国道1号線)や環七も遠くありません。箱根駅伝の名物だった京急の踏切も高架になりました。そういった意味では便利です。ただ、これらの主要道路はいずれも凄まじい交通量で、物流拠点の羽田空港も近いことから大型車両も極めて多く、運転には細心の注意を払う必要があります。裏道は道が狭い上に込み入っていて、こちらはこちらで運転しにくいでしょう。