【2】受給は原則65歳から
一部の特別支給を除いて、受給は65歳から。ただし、60~70歳の間で「繰り上げ・繰り下げ受給」を選べる。繰り上げると毎月の受給額は減額され、繰り下げで増える。
【3】働きながら年金をもらうと「支給停止」になる
第2号被保険者は、働きながら年金を受け取る場合、給料との合計が28万円以上になると、在職老齢年金でカットされる(65歳未満の場合。65歳以上は46万円以上)。
これからの年金制度3つのポイント
では、これからの年金制度はどうなっていくと予想されるか。3つのポイントを紹介しよう。
【1】「75歳受給開始」ほか改悪で受給額は大幅減
上記で説明したような現在の「年金制度の基本」が、今後、大きく変わっていくのは間違いない。受給開始年齢の大幅な引き上げに先駆けて、まず、「75歳までの繰り下げ」が選択可能になる見込みだ。加えて、実質受給額のカットが進み、若い世代ほど大幅に減ることになるだろう。
【2】「加入期間延長」という名の保険料引き上げへ
厚生年金の保険料率は2017年以降、「18.3%」で固定されているが、今後は「加入期間の延長」を強いられることになりそうだ。厚生年金の加入期間を75歳まで延ばし、保険料の支払いを義務付ける案などが議論にのぼっている。
【3】働く人の年金を削り、働かない人から保険料を取る
前述の在職老齢年金カットは、高齢者の働く意欲を削ぐとの批判が根強いが、“働く高齢者から召し上げた年金”は数千億円規模にのぼる。政府が簡単に手放すとは考えにくい。加えて、「第3号」を廃止し、専業主婦から保険料を徴収する改悪も進みそうだ。
“働いても年金カット、働かなくても保険料は払う”ということだ。私たちはこうした「新時代の年金制度」の実像を理解して、対策を立てる必要があるだろう。
※週刊ポスト2019年5月3・10日号