年金支給が66歳に遅れるのは1963年生まれ(今年56歳)の世代で、前述のように団塊ジュニアの1971年生まれは70歳、さらに今年38歳になる1981年生まれ以降は「75歳」まで年金はもらえないことになる。
支給開始が遅くなれば、当然、年金総額も減る。年金月額16万円のケースでは、受給開始年齢が70歳に引き上げられると5年分の年金960万円を失い、75歳なら10年分1920万円の損失になる。
団塊世代も700万円減
すでに「年金を受給している世代」や、これからもらう「65歳受給世代」も年金減額からは逃れられない。
年金生活者はインフレに弱い。現役世代は景気が良くなれば賃上げがあるが、年金はそうはいかない。そのため、年金制度には毎年の物価上昇と同じだけ年金支給額を増額し、インフレでも生活が苦しくならないようにする「物価スライド」というセーフティネットがあった。
ところが、“100年安心”を掲げた「平成の改革」でこのセーフティネットが壊された。年金生活世帯を標的に、物価が上昇すれば毎年0.9%ずつ年金を目減りさせる「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されたのだ。物価が上昇し、長寿で年金受給期間が長いほど年金が減らされていくのである。