上海総合指数は2倍に達しないレベルだが、中国本土株は共産党の金融政策や財政政策によって極端な値動きをする傾向があるうえ、2018年には米国に貿易戦争を仕掛けられて株価が落ち込んでいることが、その理由として挙げられる。
かつて景気浮揚のために金融緩和を行ない、1人が開ける証券口座数を1口座から20口座まで拡大したことなどから発生した2015年の中国株バブルでは、上海総合指数は5178.191ポイントまで上昇しており、これだと2001年末からの上昇率は3.1倍となる(ただし、このあと中国当局はバブルを潰すため、一部の信用取引を規制したことから株価は大暴落となり、世界の金融市場もチャイナショックという形で影響を受けることになった)。
ではBRICsは今後も成長を続けるのだろうか。
まず、足元の各国の指数の動向は堅調に推移している。2018年に大きく落ち込んだ上海総合指数も、中国当局が景気回復のために大盤振る舞いともいえる大規模減税や消費刺激策を展開した結果、上昇してきている。
世界全体を見渡すと、世界の主要な中央銀行は緩和的な金融政策を行なっているうえ、米国と中国が積極的な財政投資に打って出ており、ブレグジット(英国のEU離脱)問題や米中通商協議が無事に解決されれば、世界経済は堅調に拡大できる見通しとなるだろう。そうなれば、2019年末に向けて株価の上昇が期待できるに違いない。
次に各国の見通しだ。インドは2019年4~5月に実施される選挙の影響が大きいだろう。予想通り、モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)が政権を維持できれば、株価は堅調な推移を続けられる見通し。ブラジルとロシアは資源国なので、資源価格に注目したいところだ。資源価格には中国経済が大きく影響してくることから、中国経済がどうなるのかに注目だ。
その中国はどうかというと、やはり米中通商協議次第だろう。米中通商協議が無事に解決されてくるようだと、積極的な財政投資を行なっているだけに景気や株価の上昇余地は大きいと見る。
【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しなどを紹介するメルマガ「日本株通信」も展開中。