10連休明けから日本企業の決算発表が本格化するが、世界経済の懸念材料となっている米中貿易摩擦問題の影響などもあって、市場関係者たちの間では、あまり大きな期待は持たれていないのが実情だ。しかしながらそうした中でも、最高益を更新し株価も上昇し続けている企業は存在する。そうした企業は他の企業と何が違うのか。グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が解説する。
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日本の株式市場は高値圏で推移する米国と比べて勢いがない状態が続いている。しかし、そのようななかでも、最高益を更新して株価も上昇を続けている日本企業は存在する。そして、そのような企業を見続けていくと、ある共通点が見えてくる。
それは何かといえば、【1】「独自の強みを持った強力な商品やサービスを展開していること」、【2】「ストック型ビジネスを展開していること」が挙げられる。
「ストック型ビジネス」とは、仕組みやインフラを作ることにより継続的に収益が入ってくるビジネスを指す。1回ごとに商品やサービスを販売することで収益を上げるフロー型ビジネスと比較すると、ストック型ビジネスは1回あたりの売り上げは小さくなる傾向があるが、継続的に収益が入ってくるのが特徴だ。特に独自の強みを持った商品やサービスを持つ企業がストック型ビジネスを展開していると、非常に安定的な業績拡大が長期にわたって期待できることにつながるのである。以下、いくつか具体的に紹介しよう。
デジタルアーツ(東証1部・2326)という、フィルタリングソフトの最大手企業がある。フィルタリングソフトとは、特定の条件に合うウェブサイトだけを閲覧可能とすることのできるソフトウェアのこと。同社の「i-FILTER」は国内約53%のトップシェアを誇り、7300以上の企業・官公庁、3万1000校以上の学校・教育機関に導入実績を持つ。
それほどの高シェアを有している背景には、他社に先駆けたデータ蓄積と人の手によるきめ細かな改善で、日本語環境において最大級の有害サイトのデータベースを有している点が挙げられる。フィルタリングソフト分野はウイルス対策市場の10分の1程度とあくまでニッチ市場であり、大手企業が参入できるほどの規模にはなっていない。いわば巨大な競争相手が存在しないことが安定的な収益につながる。