日本におけるキャッシュレス決済の3つの波
このように、キャッシュレス化に不安を感じる人は6割超におよぶ。とはいえ、現金以外で買い物をしたことがある人は約9割。不安を抱きながらも、その実、キャッシュレス決済を多くの人が経験している。これはどういうことなのか。
キャッシュレス決済をしたことがあるという人の内訳を見てみると、大半の人が「クレジットカード」「電子マネー」での決済を挙げている。
紙幣に代わる支払い方法として、クレジットカードがアメリカで出現したのが約110年前。日本では1960(昭和35)年に、富士銀行(名称や表記は当時。以下同)と日本交通公社が「日本ダイナースクラブ」を設立し先鞭をつけ、以来60年近く、銀行系や信販系会社によるクレジットカードの発行が続いている。
クレジットカードに続いて登場したのが電子マネーだ。先駆けとなったのは1996年、長野県駒ヶ根市。地元店舗と協業して、市内の商店街で使える「つれてってカード」を導入した。カードと利用者の預金が紐付けられ、カードで買い物をした時、その金額が預金口座から引き落とされる仕組みだった。以来20年近く、各種多様な電子マネーが誕生してきた。
近年ではnanacoやWAONといった流通系カード、Suicaといった交通系カードなどが広く普及している。
日本におけるキャッシュレス決済の第1の波が「クレジットカード」、第2の波が「電子マネー」。それに続く新たな波が「QRコード」決済等だ。
クレジットカードや電子マネーはそれなりの時間がかかりつつも、現金を持ち歩かなくて済む便利さが受け入れられ、浸透していった。こうして見ると、多くの人が抱く不安や困惑は、キャッシュレス決済そのものに対するものというより、新たに登場した決済方法に対するものだといえるのかもしれない。
※女性セブン2019年5月9・16日号