日本は「自由」な社会だといわれる。世界に目を転じると、不自由な国がいくつもあるのに対し、日本では、住むところも、仕事も、結婚相手も自分で決めることができる。しかし、本当に「自由に生きている」といいきれるだろうか。
人生設計に関する多くの著作がある作家の橘玲氏は、最新刊『人生は攻略できる』(ポプラ社刊)で「大多数の日本人(おそらく9割以上)はなにかに依存して生きている」と指摘している。
たとえば、こんな事例がある。2018年に不適切な不動産融資が発覚したスルガ銀行で第三者委員会が行なった内部調査では、「数字ができないなら、ビルから飛び降りろといわれた」「ものを投げつけられ、パソコンにパンチされ、オマエの家族を皆殺しにしてやるといわれた」といった信じがたい行員の体験談が並んでいる。
「そんなことまでいわれても銀行員が辞められなかったのは、ほかに仕事のあてがなく、会社に依存して生きるしかなかったからでしょう。ごく簡単にいえば、お金がないから。なにかに依存していると、逃げ場がなくなってしまう。そこでしか生きていけないなら、なにをされてもひたすら耐えるしかない。これでは、自由な社会における“奴隷”です」(橘氏・以下同)
では、どうすればいいのか。橘氏の答えは明快だ。
「『自由』を経済的に定義するなら、『国家にも、会社にも、家族にも依存せずに生きていくのにじゅうぶんな資産を持つこと』。つまり『経済的独立』です。経済的に独立していれば、理不尽なことが起きたらいつでも辞表を叩きつけて別の場所に移っていける。『自由』とは、イヤなことをイヤだといえることなのです」