日本人のコメ離れが進んでいると言われることもあるが、パックご飯や冷凍食品などの加工米飯の生産は伸び続けている。また、日本協同組合連携機構の「農畜産物の消費行動に関する調査結果」によれば、「米が主食」のうち、「家庭で炊飯した米」の消費が減少する一方で、「中食・外食」の消費は増加している。その背景に何があるのだろうか。
この春、一人暮らし3年目を迎えるという20代男性会社員・Aさんは、当初意気込んで買ったはずの炊飯器をまったく使用しなくなってしまった。
「初めのうちは、実家から送られてくる米を炊飯していたんですが、炊飯にかかる一連の手間がどうにも面倒くさくて、コンビニでご飯パックか冷凍チャーハンを買うようになりました。今では、ご飯は炊かないことが当たり前になっています」
実は今、Aさんのように “炊飯をしない”というスタンスの人が増加しているようなのだ。
2017年の国民1人当たりの米の消費量は54.2キログラム(年間)で、1965年と比べてほぼ半減している。しかし、実際、その一方でパックご飯(レトルト米飯と無菌包装米飯)の生産量は絶好調なのだ。2018年に19万8381トンで過去最高を記録し、ここ6年の間、右肩上がりを続けている。冷凍米飯なども合わせた加工米飯でも、39万170トンで過去最高。
パックご飯が支持される背景には、共働きの世帯の増加も無視できない。30代の会社員女性・Bさんは家庭の内情を明かす。
「以前はご飯をたくさん炊飯して、小分けにして冷凍しておきましたが、面倒くさいうえに、炊きたてと比べるとやっぱり味は落ちる。私も夫もそれを実感していたので、いっそパックご飯を買いだめすることにしました。その方が時短につながるし、味も満足できる。実利をとりました」