住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「高田馬場」(東京都新宿区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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御茶ノ水、本郷、江古田、明大前など、都内に学生街はいくつもありますが、もっとも“学生街らしい学生街”と言えば高田馬場ではないでしょうか。早稲田大学を始めとして数多くの学校や専門学校があり、常に多くの若者で賑わっています。ただし、学生街と言うと、「学生以外は住みにくい?」と思われがちですが、決してそんなことはありません。
鉄道はJR山手線、東京メトロ・東西線、西武新宿線の3線。山手線で新宿と池袋にはいずれも2駅ですし、東西線で大手町へも14分ですから、文句の付けようはありません。しかも微妙に行きにくい場所は路線バスがしっかりフォローしており、公共交通機関での移動は満点に近いでしょう。
対照的に、道路状況はあまり良くありません。明治通り、新目白通り、早稲田通りなど、幹線道路は近くにありますが、交通量は非常に多く、首都高速の入り口にも微妙に距離があります。裏道に入ると、道幅の細い道路が極めて複雑に入り乱れており、混乱すること必至。鉄道が非常に便利ですし、駐車場代も高いので、車の必要性はあまり感じられません。
古本、ラーメン、居酒屋、パチンコ、娯楽には事欠かないが…
冒頭で、“学生街らしい学生街”と評しましたが、1度訪れれば、その評判が噂に違わぬものであることが分かるでしょう。古本屋街の充実度は、神保町と並んで都内トップクラスですし、ラーメン店は多くの名店が高いレベルでしのぎを削る激戦区。雀荘の密度は日本一でしょう。その他、居酒屋、パチンコ屋、カラオケ店など、アフタースクールを楽しみたい学生にとっては天国のような街です。駅付近には数多くのスーパーがあって、日常の買い物はよりどりみどりの状態ですし、コンビニともなれば、数えきれないほどあります。