投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が5月13日~5月17日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は下値の堅い展開か。米中両国は従来の貿易慣行を改める協議を進め、合意は間近とみられていたが、中国側が合意文書の修正を求めたことで交渉進展(合意形成)への期待は大幅に後退した。トランプ政権は中国からの輸入品に対し税率引き上げの制裁に踏み切る方針を示したことで、貿易戦争再燃への懸念は強まり、リスク回避的な円買いに振れた。
米中貿易戦争の再燃への思惑でドル・円相場は水準を切り下げたが、両国による協議は継続すると見込まれており、リスク回避的な円買いはやや後退するとみられる。米国の個人消費は堅調さを保っていることや、製造業の景況感は回復しつつあることが確認できれば、ドル買いが入りやすい。
両国の閣僚級協議で対話を継続することになれば、交渉決裂などの最悪シナリオは回避され、円買いは縮小するとみられる。ただ、目先的に米中両国の関係は対立が見込まれ、円買いがドルを下押しする場面もありそうだ。一方、4月の米小売売上高や5月フィラデルフィア製造業景気指数など経済指標が堅調な内容だった場合、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測は一段と弱まり、ドルは買戻しが入りそうだ。とはいえ、世界的な景気減速懸念は払しょくされず、ドル高・円安進行のペースは当面緩慢になるだろう。
【米・4月小売売上高】(15日発表予定)
15日発表の4月小売売上高は前月比+0.3%と、3月の+1.6%から伸びが鈍化する見通し。予想外に強含んだ3月の反動とみられる。ただ、利上げ期待は後退しており、市場予想とおおむね一致すれば、ドル売り材料にはならない見込み。
【米・5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数】(16日発表予定)
16日発表の米5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は11.0と、4月の8.5から改善が見込まれる。市場予想と一致すれば、製造業の再拡大への思惑から株買いを通じてドル買いに振れそうだ。